法定相続情報証明制度とは

相続手続きには、金融機関での口座解約や名義変更、不動産の登記変更など、多くの手続きが含まれます。これらの手続きでは、それぞれの機関に対して被相続人と相続人の関係を証明する書類を提出しなければなりません。従来、この証明には戸籍謄本や住民票など、多くの書類が必要であり、手続きが煩雑で時間がかかることが課題となっていました。

そんな課題を解決する法定相続情報証明制度が2017年に施行されました。この制度により、相続人は法務局に必要な書類を一度提出し、「法定相続情報一覧図の写し」という証明書を取得できます。この一覧図を利用することで、各機関での手続きが簡素化されます。例えば、金融機関での口座解約や名義変更、不動産の登記変更などの際に、この一覧図を提出するだけで済むようになります。

法定相続情報一覧図の写しが交付されるために必要な書類は?

  1. 法定相続情報一覧図(写し)
    • 相続関係を証明するための一覧図です。法務局で様式が提供されています。
  2. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
    • 被相続人が出生してから死亡するまでの全ての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本を含む)を提出する必要があります。
  3. 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
    • 被相続人が最後に住んでいた住所を確認するための書類です。
  4. 相続人全員の戸籍謄本
    • 相続人全員の戸籍謄本が必要です。相続関係を証明するために使います。
  5. 相続人全員の住民票
    • 相続人全員の現住所を確認するための住民票です。
  6. 遺産分割協議書(必要な場合)
    • 遺産の分割方法を協議した書面です。相続人が複数いる場合など、特定の相続方法を定める場合に必要です。

上記の書類を準備し、法務局に提出します。法務局はこれらの情報を元に「法定相続情報一覧図の写し」を交付します。この一覧図を使うことで、金融機関や不動産登記などの手続きが簡略化されます。

法定相続情報一覧図を利用するとこんなメリットが

  • 手続きの簡素化:複数の機関に対して同じ書類を何度も提出する必要がなくなり、手続きが大幅に簡素化されます。
  • 時間の節約:必要書類の収集や提出にかかる時間が短縮され、相続手続きを迅速に進めることができます。
  • 費用の削減:戸籍謄本や住民票などの書類を何度も取得する必要がなくなり、書類取得費用が削減されます。

制度を利用する際の注意点

  • 書類の正確性:提出する書類の内容が正確であることを確認する必要があります。不備がある場合、手続きが遅延する可能性があります。
  • 期限:法定相続情報一覧図の写しには有効期限があるため、早めに手続きを進めることが重要です。

まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きを大幅に簡素化する便利な制度です。必要書類を揃えて法務局に提出することで、「法定相続情報一覧図の写し」を取得し、各機関での手続きを迅速かつ効率的に行うことができます。実際、私も父の相続手続きの際に制度を利用したのですが、複数の金融機関に対して同時に払戻手続を行うことができ、時間の短縮に非常に役立ちました。この制度を利用することで、相続手続きに伴う煩雑さを軽減し、スムーズな相続手続きを実現することが可能です。

相続には煩雑な手続きがつきものです。当事務所にお気軽にお問い合わせください。