遺言書を書くというと、どこか仰々しい行為のように思いがちですが、自身の死後に財産や遺産の処分を定める文書です。現在は「エンディングノート」「終活」といったワードが話題になっていますが、それぞれが死に対して向き合うことはとても大切なことだと思います。人間だれしも避けられないのが自身の死です。そこで、遺言書を書くにあたってのメリットとその方式について解説します。

遺言書を書くメリットとは?

  1. 遺産分割の明確化: 遺言書は、死後に財産や資産を遺す際に、具体的な配分や処分方法を定めることができます。これにより、遺産分割を円滑に進めることができます。
  2. 家族間の争い回避: 遺言書がない場合、財産分割に関して家族や相続人間で争いが起こることがあります。しかし、遺言書があれば、その意思が明確に示されるため、遺産相続に関する争いを回避することができます。
  3. 税金の最適化: 遺言書を使用することで、相続税や贈与税などの税金負担を軽減するための戦略を立てることができます。遺産分割や贈与の方法を遺言書に記載することで、税金の節約が可能です。
  4. 信頼関係の維持: 遺言書は、遺された家族や友人に対する思いや配慮を示す手段でもあります。自身の意思を明確に表明することで、信頼関係を維持することができます。
  5. 法的な保護: 遺言書は法的な文書であり、遺産分割や処分が遺された意思に基づいて行われることを保証します。これにより、遺産分割に関する法的なトラブルを回避することができます。

このように、遺言書を書くということは自身だけではなく遺された家族の方にもメリットがあります。家族間での無用な争いを避けるためにも、自身亡き後も皆が円満な関係を築いていけるようにしっかりと準備を整える必要があります。

遺言の方式の種類

遺言の方式にはいくつかの種類があります。まずはどのような種類があるのか見ていきましょう。

①自筆遺言書
自ら手書きで作成する遺言書です。費用がかからず手軽に作成できますが、法的要件が厳しく紛失・偽造の可能性もあり信用性には欠けます。

②公正証書遺言
遺言の方式の中でもっともスタンダードといわれるのが、この公正証書遺言です。証人2名以上と公証人の立ち会いの下で作成する遺言書で、法的な効力が強く変更や取り消しが難しいのが特徴です。

③秘密遺言書
公証人と証人2名の立ち会いのもと遺言者が自筆で作成し、封をして公証人に提出する遺言書です。内容が秘密に保たれますが、公証役場では遺言書の保管をしないので紛失のおそれもあります。

このように、遺言書にはいくつかの種類がありますが、それぞれ特徴や法的要件が異なります。

この中で一番信用度が高く、偽造・紛失のおそれがない方式は「公正証書遺言」です。証人2名以上の確保(いなければ有料で公証役場に依頼)の必要がある、印紙代・手数料等の費用がかかるのがネックですが、自分だけではなく家族の相続の手間などを考えると私は公正証書遺言がトータル面で最適な方式だと考えます。当事務所でも自筆証書遺言作成サポートや公正証書遺言の文案作成サポートを承っておりますので、お気軽にご連絡ください。