遺産分割協議書とは
遺産分割協議書は、亡くなった人の遺産を相続人同士でどのように分割するかを決めた書面です。この書類は相続人全員の合意を反映し、後々のトラブルを避けるために重要な役割を果たします。法律的な効力も持つため、正確かつ詳細に作成することが求められます。
遺産分割協議書を自作する理由
遺産分割協議書は専門家(弁護士や司法書士、行政書士)に依頼して作成することもできますが、自分で作成することも可能です。自作するメリットとしては以下のような理由が挙げられます。
- 費用の節約:専門家に依頼すると費用がかかりますが、自作することでそのコストを削減できます。
- 時間の節約:自分で作成すれば、自分のペースで進めることができます。
- プライバシーの確保:個人的な財産や家庭の事情を外部の人に知られたくない場合、自作することでプライバシーを守ることができます。
遺産分割協議書の作成に必要な書類
遺産の中に不動産が含まれない場合や遺言書が存在しない場合もあるため、ケースによって必要書類は様々ですが、遺産分割協議書を作成するにあたって必要な書類はおおむね以下の通りとなります。
- 被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本:出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。これにより相続人の確認が行えます。
- 相続人全員の戸籍謄本:相続人全員の戸籍謄本を揃えることで、相続人の範囲を確定します。
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票:被相続人の最後の住所地を確認するために必要です。
- 相続財産の目録:不動産、預貯金、有価証券、動産などすべての相続財産の詳細をリストアップします。
- 遺言書:もし被相続人が遺言書を残している場合、それも用意します。遺言書がある場合、その内容に基づいて遺産分割を行います。
- 固定資産評価証明書:不動産の評価額を確認するために必要です。
- 預貯金の残高証明書:銀行口座の残高を確認するための書類です。
遺産分割協議書作成の手順
- 相続人全員の話し合い: 相続人全員で話し合い、遺産をどのように分割するかを決めます。相続人全員の合意が得られなければ遺産分割協議書は作成できません。
- 遺産の把握: まず、遺産の全体像を把握します。不動産、預貯金、有価証券、その他の財産をリストアップし、その評価額を確認することで公平な分割が行えるようになります。
- 協議書の作成: 話し合いで決まった分割内容をもとに、遺産分割協議書を作成します。以下のポイントを押さえて作成します。
- 書式:形式は特に定まっていませんが、法律上の要件を満たすためには詳細かつ明確な内容である必要があります。
- 記載内容:
- タイトル(遺産分割協議書)
- 被相続人の氏名と死亡年月日
- 相続人全員の氏名、住所、続柄
- 各相続人が相続する財産の内容と割合
- 各相続人の署名、捺印
- 協議の日付
- 署名・捺印: 遺産分割協議書は相続人全員が署名し、実印を押す必要があります。また、印鑑証明書を添付します。後々のトラブルを防ぐために印鑑証明書の添付は必ず行いましょう。
遺産分割協議書作成の注意点
- 全員の合意が必要: 遺産分割協議書は相続人全員の合意が必要です。一人でも同意しない場合、協議書は無効となります。
- 法定相続分の確認: 法律に基づいた相続分を確認し、それを基に話し合いを進めることが重要です。不公平な分割は後々のトラブルの原因となります。
- 専門家のアドバイス: 自作する場合でも、難しい場合や不安がある場合は専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。特に高額な財産が含まれる場合や複雑な家族関係がある場合には専門家の助言が有効です。
- 遺産分割協議書の保管: 作成後は原本を大切に保管します。また、相続登記や預貯金の名義変更などに使用するため、複数部作成しておくと便利です。
まとめ
遺産分割協議書は、相続人全員が合意し、遺産をどのように分割するかを明確にするための重要な書類です。自作することで費用を節約することができますが、法律的な要件を満たし、後々のトラブルを防ぐためには慎重に作成する必要があります。
必要な書類を揃え、相続人全員の合意を得たうえで、正確な遺産分割協議書を作成しましょう。また、専門家のアドバイスを受けることで、より安心して手続きを進めることができます。当事務所でも遺産分割協議書を作成していますのでまずはお気軽にご相談ください。